病院案内
病院案内

 当院は眼科診療に力を入れており他院からの紹介が多いのが特徴です。その中で最も紹介が多い眼科疾患は、白内障と緑内障ですのでそれらについてご説明いたします。

検査機器について
検査室

 当院には4つの診察室がありますが、その内の1室が眼科専用です。この診察室には、細隙灯顕微鏡検査器械(スリットランプ検査)、眼内圧計、倒像鏡(とうぞうきょう)眼底検査用ヘッドセット、各種眼科検査画像保存用デジタルカメラ、網膜電図検査器械などを備えております。それら機器を以下に説明いたします。



細隙灯顕微鏡(スリットランプ)

細隙灯顕微鏡(スリットランプ)

 眼科検査においてスリットランプは、細くて強い光を眼に当てることにより角膜、前房(角膜と虹彩の間にある水の貯めた部分)、虹彩の表面、水晶体、硝子体などを観察する器械です。また、これは発射光を広くすることもできるので眼瞼(まぶた)、睫毛(まつげ)、結膜そして角膜なども拡大して詳しく観察できます。動物は静止していてくれませんので、片手で持って使用できるものがよく使われます。また、当院では写真の様に検査している画像をモニターに写しながら飼い主の方に説明して、理解を深めていただくよう心がけております。



倒像鏡による眼底検査

倒像鏡による眼底検査

 眼底、つまり眼球内の後面を言いますが、ここを観察する方法には一般的な直像鏡検査がありますが、観察できる範囲が狭くて全体像が観察しにくいのが欠点です。いっぽう倒像鏡検査は、短時間で広い範囲を観察することができ、特に動物に負担をかけないよう常に短時間検査を心がける必要があるので、欠かすことのできない検査法の一つです。写真のようにヘッドセット(頭に付ける光源と観察用のレンズ)からの光を、動物の眼の前に持った特殊なレンズを通すことにより眼底を観察します。以前この方法は、散瞳(瞳孔を開く)させる必要がありましたが、最近では散瞳の必要がほとんどなく検査できるようになりました。



デジタル式眼底カメラ

デジタル式眼底カメラ

 これは眼の表面や網膜を含めた眼球内部をデジタル画像としてディスプレイに示すことができ、簡単に保存することができます。画像の保存によって病変部を経時的に評価することができ、治療によって良くなっているのか、悪化しているのかを判断するために非常に役立ちます。そして飼い主の方に画像をお見せしながら説明してご理解いただくために多いに役立ち、紹介していただいた先生にもお見せすることが可能となります。



眼内圧計

眼内圧計

 眼球内の圧を測定する器械です。眼内圧が上昇する緑内障の客観的な診断には欠くことのできない器械で、特に早期診断には非常に重要です。あまり認識されていませんが、眼球内の炎症では眼内圧が逆に低下することが多いのですが、眼球にはっきりした炎症所見が見られないときでも眼内圧が低下することがあるのでこの場合にも重要な検査法です。



網膜電位図検査(ERG)装置

網膜電位図検査(ERG)装置

 網膜から発生する活動電位を調べて、網膜の機能を検査します。実際には、白内障の術前の検査、盲目の原因が網膜にあるのかあるいは視神経や脳など他にあるのかを調べるために検査します。



超音波(エコー)診断装置

網膜電位図検査(ERG)装置

 超音波診断装置は、体のいろんな臓器に応用できる検査装置です。体に侵襲性なく、リアルタイムに内部を観察する非常に良い検査法です。眼科で使用する器械(プローブ)は、表層の領域を細かく観察できるものを用います。この方法は白内障、眼内出血、角膜の濁りなどで眼球内部が見えないときには欠くとこのできない検査です。実際には、白内障の術前検査、網膜剥離、眼内の腫瘍、水晶体の位置や大きさ、形など、視神経、そして眼球以外の後ろにできた腫瘍などの検査に有効です。

 院長は「犬と猫の眼科診断への超音波断層検査の応用」として学会誌に発表し日本獣医師会学術奨励賞を受賞しております。



検査機器について

 眼科における手術機器は、眼科用として特別なものが多く非常に高価で普通の病院では備えていないことが多いのです。



手術用顕微鏡

手術用顕微鏡

 手術用顕微鏡は、肉眼では困難な血管縫合、神経束の縫合、極小動物の手術、そして眼科手術などに使用します。当院では主に白内障手術、角膜手術、緑内障手術、まぶたにできた腫瘍の切除等に使用しており、眼科手術にはなくてはならない器械です。



超音波白内障手術装置

超音波乳化吸引装置

 近年、犬や猫の白内障には超音波乳化吸引術が行われ人と同様の成功率が期待できます。写真の器械(横振動超音波)は最新のもので、犬の硬い白内障レンズを効率よく除去でき、手術時間の短縮になり、結果として手術の成功率向上になります。また、動物用(犬、猫)の人工レンズが開発され、ほとんどの場合乳化吸引術に引き続きこのレンズを眼内に挿入することによって視力の回復となります。しかし、この手術は、眼科に精通し、白内障手術の経験が豊富な術者とスタッフとのチームワークが非常に重要です。



レーザー装置

レーザー装置

 このレーザー装置は、眼科での治療として開発されました。特別な波長が、眼内の水(房水)を産生する組織を選択的に壊すことによって眼内圧を下げます。